夫の話題に戻ります。
休職しても、再び学級担任を外れ、仕事を減らしてもらっても、夫の調子はあまりよくなりませんでした。耳鼻科だけでは無理だと、カウンセリングを受けたり、心療内科を受診したりするようになりました。
夫は「治してくれる医者」を探しました。治してくれる医者とは、症状が良くなる薬を出してくれる医者です。
話を聞いて「ゆっくり休みなさい。大丈夫ですよ。」
という医者は
「どうしたら治るか教えてくれない。」
と、もう一度行こうとはしませんでした。
いくつも病院を回り、カウンセリングを受け、自分でも調べて、薬を出してくれる病院へ行くようになりました。心の不調を、熱さましや咳止めのように、症状を抑える薬で抑えたかったのだと思います。
「ゆっくり休みましょう。」
「気にしすぎないことですよ。」
「好きなことをしてみてはいかがですか。」
そんな風に言われると、それらをしたって、よくならない!と怒っていたように思います。
今から思うと、「時間がかかる。」という理解が、夫にも私にもなかったのです。
夫の薬の種類は徐々に増え、気持ちが落ち込んだり、イライラすることが増えました。どうしたらよいのか、私もさっぱりわかりませんでした。
そうそう、よくあっていた困りごとを思い出しました。
「家族というものは週末は出かけるものだ!」
と主張する夫の掛け声に、ぐずる子どもを引き連れ、車に乗せたり、電車やバスに乗せて、「お出かけ」によく行きました。電車旅行が趣味だった夫は、お出かけスポットを見つけるのが得意。
遊園地、水族館、動物園、電車乗り、広場、山、等々。
遊園地に行くと、楽しすぎて
「帰りたくない!」
「(こんなに早く帰らなければならないのなら)全然楽しくなかった!」
とごねる息子。そして息子を怒鳴りつける夫。いやはや、大きな声で文句を言う息子に怒鳴り散らす夫。当然、周りの注目も浴びます。うーん、困った。。。
帰りはいつも、泣きわめく息子と、怒っている夫をそれぞれなだめながら帰らなければなりませんでした。息子をかばい、そんなに怒らなくても…と言うと
「どうしてこいつが悪いのに、オレが怒られなきゃらならないんだ!」
と、更に怒りが増し、声が大きくなります。
どうしてよいのかわからないけれど、とにかくこの状態は病気のせい。夫を責めても改善はしない。
息子が夫に殴られないようにかばいながら手を曳き、下の娘を抱いて、車に乗り込んでいたのを思い出します。
話題がそれました。
そんなこんなで、夫は「過ごし方や気持ちの持ち方」を話してくれる医師を避け、説明少なく、薬を出してくれる心療内科へ行きだしました。
夫の具合があまりに良くならないので、私がかかりつけの心療内科の医師に話を聞きに行ったこともありました。そうすると、その医師は
「ご主人は、私の言うことは聞き入れませんよね。私を信用してませんよ。薬のことだけ尋ねられます。」
と話しました。
そんな夫の病院選び。薬がどんどん増えていきます。
この時、私に精神医療や精神薬について、少しでも知識があればよかった…と数年後に思いましたが、この時は何も知らなかったので、打つ手もなく。医師の言うことを、はあ、そうですか…と聞くしかできませんでした。
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